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ターンアウトとは

「脚の付け根から回して」
「お尻を締めて」
「座骨を寄せるように」

バレエにおいてターンアウトは、すべての動きにつながります。
基本でありながらも重要な動きです。

初心者のときは特に先生からターンアウトのアドバイスを受けると思います。
それに対し、「足が外に開いていること」「股関節を回すこと」なんだろうな〜と何となくイメージしているかもしれません。

ターンアウトは一言でいえば、こんな状態です。

・両方の脚全体を外に開くこと
・脚を外側に開いたときに膝の向きとつま先が同じ方向になっていること

NGパターン

足だけを無理に真横に開いて形を作ってしまうと、つま先は横を向いているのに、膝が前を向いている状態になります。
地面をしっかり踏めておらず、膝や足首のケガにつながったり、後ろ重心、腰やお尻が落ちやすくなります。

ターンアウトするメリット

「そもそもなぜバレエではターンアウトするの?」と思うかもしれません。
これは見た目だけのことではなく、さまざまなメリットがあるからです。

①可動域が増える

足をさまざまな方向に高く上げることができるのはターンアウトするからです。

②動ける範囲が増える

ターンアウトしておくことで、どの方向にもスムーズに移動できます。

③体がブレない(安定する)

上に伸びようとする力と、床を押す力が互いに引っ張り合うように働くので、軸がブレません。

④ケガを防ぐ(安全性)

きちんとしたターンアウトができているとケガや痛みの予防になります。

⑤長くてほっそりした筋肉がつく

ターンアウトができていると、筋肉の付き方が変わって、プロポーションが縦に伸びるようになります。
いわゆるダンサー体型です。
ターンアウトができていないと下半身が太くなってしまいます。
バレエの上達のためには、ターンアウトがかかせないものであることがわかりますね。

楽にターンアウトするコツ

まず、正しいターンアウトのやり方を一言でいうと、脚全体(骨盤からつま先まで)をひとまとまりとして、外側に回旋するということになります。
このとき、太もも裏(お尻の下の内側あたり)が前に出るように股関節を開くと、きれいに回りやすいです。

①太ももを回す
②回ってないぶんを膝や足首の関節でカバー

太ももを先に回す意識を持とう

最初から足先を思いっきり開いてポジションの形を作るのではなく、「太ももを先に外旋(外方向に回す)する」と意識する。
たったこれだけで足先だけのなんちゃってターンアウトを防ぐことができます。
実は、足を先に開いてしまうと人体の構造上の股関節は開きません。
反対に固めてしまい、0脚や膝を痛める原因になります。
太ももをどれくらい外旋するかは片脚60度(両モモで120度)くらいを目標に。
最初は両モモ90度(片脚45度)くらいからでも十分です。

レッスンを重ねていくうちに開きやすくなります。

この60度という数字は根拠があります。
『THE DANCER AS ATHLETE』という論文によると、プロのダンサーでも片脚70度のターンアウトができる人は少ないそうです。

先に脚を内側に回してからターンアウトしてみる

これは、内転筋を使うことで股関節を開く筋肉をストレッチする方法です。
太ももを股関節で回す感覚がいまいちつかみづらい方には特におすすめです。

①肩幅に足を開く

足はパラレル(つま先を前に向けた状態)で肩幅に開きます。

②つま先を内側に向ける

つま先を内側に向けます。
股関節を外旋する筋肉をストレッチして回しやすくする前フリです。
そこからターンアウトで脚を外に回して股関節を開いていきます。
両方のかかとがつくように回すとターンアウトがきれいに入りやすいです。

ターンアウトで使う関節と筋肉

ターンアウトをするとき、メインで使われる関節は股関節です。
プラス膝関節足首の関節がサポートします。

①股関節

股関節は、付け根から脚を回すための関節で、骨盤の寛骨臼大腿骨頭でできています。
寛骨臼は骨盤の横にある部分で腸骨坐骨恥骨でできていて、大腿骨頭がおさまるソケットの役割をします。

②膝関節

曲げ伸ばしはできますが、ねじれはあまりできません。
足先だけターンアウトして、膝がねじれるような状態を続けていると靭帯をケガしやすいのです。
最悪、ちょっと踊るだけで膝が腫れるようになります。

③足関節

ターンアウトで股関節を開いたぶんをサポートするために使います(特に5番で)。
先に足先を横に向けてしまうと、足は開いて見えても股関節は回っていない、なんちゃってターンアウトになりがちです。
ちなみに、足首をフレックスしながら回すと、股関節が回りやすいです。
本来、足を付け根から回す(股関節を開く)ためには、体全体のバランスがしっかりしていないとうまくいきません。
お尻に力が入ってしまったり、膝がねじれて「開けない」となってしまいます。
はじめから全身を意識することは難しいかもしれませんが、完璧なターンアウトは全身の使い方が大切なのだと覚えておいてください。
特に、以下の3つの関節が股関節の開きに影響します。

①仙腸関節

骨盤の後ろにある仙骨と骨盤の横にある腸骨のつなぎ目の関節です。
股関節は骨盤につくので、ここがズレていたりすると股関節の開きに左右差がでてきます。
反対にいうと、骨盤を水平にキープすることは、ターンアウトをサポートしてくれます。

②椎間関節

首からお尻まで背骨をつなぐ関節です。
反り腰だったり、猫背や首を丸めたりすると、骨盤の傾きがズレて、股関節が開きづらくなります。

③肩甲胸郭関節

肋骨と肩甲骨をつなぐ部分。
いわゆる「肩甲骨はがし」で指を突っ込む部分です。
体幹と腕をつないでバランスを取りやすくしてくれています。
ここが働かないと、「肩が上がる」「あばらが開く(お腹が出る)」ようになって、引き上げがしづらくなります。
引き上げできないと、ターンアウトするときに腰がつまり、お尻が後ろにいってしまい、股関節が開きづらくなります。

股関節を開く筋肉

ターンアウトでは、股関節を開く(外旋する)筋肉を使います。
股関節を開くときに使われる筋肉は、以下のように大きい筋肉と、奥にある小さい筋肉に分かれます。


ターンアウトのキープに使うのは小さい筋肉(深層外旋六筋)です。

股関節を開く大きい筋肉の役割

股関節を開く筋肉で大きいものは、3つのカテゴリーがあります。

①お尻:大殿筋・中殿筋
②腰:腸腰筋
③前もも:縫工筋

ただ、これらをメインに股関節を開こうとすると可動域が減るため、ターンアウトには、次ページの深層外旋六筋を働かせるほうがいいです。
では、この大きい筋肉はターンアウトに関係ないのか、というとそうでもありません。
体幹や骨盤を支えたり、体のバランスを保ったりすることでターンアウトを助けています。ただ、こちらをメインで使いすぎると、十分な外旋がしにくく、腰痛や下半身が太くなる原因にもなります。
ターンアウトをキープする小さい筋肉は上記の絵の外旋六筋で、その名の通り6つありお尻の奥にあります。

バレエのレッスンでターンアウトをするときに、
「お尻を締めて」
「大転子(お尻の外にある出っ張り)をしまって」
「お尻の下(坐骨)を内側に回すように」
といったアドバイスを聞いたことはありませんか?

これは、深層外旋六筋を使うことによりできることです。
この筋肉が働くことでターンアウトをキープできます。自分で使えているかチェックするときのポイントは、「どこに力が入っているか」です。
大腿方形筋は、お尻の一番下を回すときに使います。
ここが使われていればお尻を締めるときもお尻の上に力を入れずにすむはずです。
いきなり足先から開こうとすると、お尻の大きい筋肉が先に動いてしまい、深層外旋六筋にスイッチが入らないので注意してください。

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