母趾の付け根に痛みが出る障害として外反母趾(がいはんぼし)、それに強剛母趾(きょうごうぼし)、母趾種子骨障害、痛風発作があります。
それぞれの違いを含めて説明していきます。
足の親指の痛み(強剛母趾・その他)とは
強剛母趾
強剛母趾は母趾(足の親指)の付け根の関節が変形を起こす障害です。
変形といっても外反母趾の様に母趾が曲がるのでは無く、関節の隙間が狭くなり、関節端の上面が棘の様に隆起する変形を起こします。
この関節の変形により母趾の可動域が狭くなり、母趾が上に反る時に関節面が衝突して痛みや炎症が起こります。
原因
はっきりとした原因はまだわかってませんが、欧米の専門誌などでは第1中足骨が持ち上がっていることが関係していると議論されています。
研究によると、強剛母趾の方の94%が、第1中足骨が持ち上がっている傾向にあり、症状が進行するにつれて持ち上がり方は大きくなります。
さらに第1中足骨が第2中足骨より長い傾向にあります。
第1中足骨が長くて持ち上がっていると、歩いていて踏み返す際、母趾だけ最後まで踏み返されずに残ってしまい、それで母趾の関節に軸圧がかかり微小な損傷が加わり続けることで、年齢的な変化が現われると考えられています。
症状
強剛母趾の特徴的症状が以下の通りです。
・歩行時の踏み返しによる痛み
・母趾が上に反る(背屈)時の痛み
・母趾の付け根の関節(MP関節)の上面(背側)の骨性隆起
・関節の腫れ
強剛母趾は母趾の付け根が腫れて痛みが出るため、外反母趾や痛風などと間違われることが多い疾患です。
強剛母趾は母趾の付け根の関節の背側に骨性隆起が見られることが特徴です。
治療方法
患部の炎症による痛みはアキュスコープ・マイオパルスで施術します。
日常生活動作では、インソールやテーピングなどで母趾が反らない様に母趾MTP関節の背屈可動域を制限します。
比較的症状が軽い場合は、母趾の運動性の改善や再発予防のためのリハビリを行います。
強剛母趾になりやすい人は、扁平足や浮き指、エジプト型の足型などで見られる長い母趾、外反足などの異常がみられます。
この様な足の形状をしている場合は、歩行時に母趾の付け根に負担が掛かりやすい傾向があり、痛みの増悪や強剛母趾の悪化の原因の一つとなります。
これらの傾向を改善する方法として、足の内側縦アーチのサポートが有効です。
誰でもできる強剛母趾の包帯による簡易固定
足の指の付け根から足の甲全体をしっかり固定します。
少し厚めに巻くと痛みを和らげて足のアーチを支える効果が上がります。
その他の類似した症状を持つ障害
外反母趾
外反母趾とは足の指の変形のことで、足の親指の付け根の関節(MP関節)が隣の指の方向に曲がったものを言います。
日本人が靴を履くようになってから足の代表的疾患となっていて、現時点で成人の30パーセントに認められると言われています。
中足骨に対して指先が20度以上になると外反母趾と診断されます。
20度~30度は軽度、30度~40度が中等度、40度以上が重度に分類されます。
圧倒的に中高年の女性に多いため、ハイヒールが原因と思われがちですが、ハイヒールを履いたことがない男性でも外反母趾になることがありますし、ハイヒールを毎日履いていても外反母趾にならない女性もいます。遺伝も大きく影響しますが、生まれつきの足の形と生活習慣が組み合わさって一定の条件を満たした場合、外反母趾が発症するようです。
放置すると、変形が進行することはあっても自然治癒することはありません。
・母趾が足の小指の方に向かって外反している
・母趾内側のしびれ
・母趾の付け根の内側に骨が突出して、発赤、腫れ、痛みが現れる
・痛風と比べると痛みの範囲が限られる
・母趾と隣の第2趾の付け根との間に痛み
痛風
尿酸値の高い状態が続き、尿酸結晶が母趾MTP関節に溜まり、あるとき急に炎症を起こして赤く腫れ上がる状態です。
痛風発作は足首関節などでも起きますが、母趾MTP関節で起こるのが典型的です。
・母趾の付け根全体の発赤、腫れ、痛み
・晴は足の甲全体に広がることもある
・痛風発作(痛み、発赤、腫れ)は突然発症し、運動時や安静時関係なく痛む
生活習慣の改善が最も大切な痛風予防法です。
食べ過ぎに注意
摂取エネルギー(カロリー)を抑えて肥満を解消するだけで尿酸値は下がります。
肉や魚の内臓や干物にはプリン体が多いので、食べ過ぎないようにしましょう。
お酒は適量に
アルコール自体に尿酸値を上げる作用があります。
プリン体カットビールだからといって飲み過ぎてはいけません。
日本酒なら1合、ビールなら500mL、ウイスキーなら60mLまでにしましょう。
水を2リットル以上飲む
たくさんの尿で尿酸を排泄するため、水やお茶を1日2リットル以上飲みましょう。
砂糖を多く含む清涼飲料水は逆に尿酸値を上げてしまうので飲み過ぎに注意しましょう。
ストレス解消を
ストレスは尿酸値を上昇させる危険因子です。
人と話したり身体を動かしたり趣味に没頭したり、あなたに合った方法でストレスを解消しましょう。
適度な運動を
100メートルダッシュやベンチプレス100キロなど、息をこらえて行う無酸素運動は尿酸値上昇の原因になり得ます。
話しながらでもできるような有酸素運動で肥満やストレスを解消しましょう。
母趾種子骨障害
その名の通り母趾種子骨が痛みの原因となる疾患です。
母趾種子骨はそれぞれが丸いひとつの骨ですが、先天的に2個あるいは複数個に分裂していて線維性組織で中途半端にくっ付いていることがあり、ちょっとした外傷をきっかけに結合が不安定になって痛くなることがあります。
また加齢に伴う変化など何らかの原因で横アーチが崩れ、母趾の中足骨が下向きになり過ぎて、種子骨が地面に強く押し付けられ、足の裏に痛いタコを作ることもあります。
・MP関 節の足底側に痛み(荷重時、踏み返し動作で母趾を上へ反らす時)
・MP関節の足底側に腫れと発赤、押した時の痛み
・痛みのために母趾を上へ反らすのが困難