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なぜトゥシューズを潰すの?

こんにちは。

やまぐちスポーツ整骨院です。

 

みなさん、トゥシューズを床に叩きつけている動画などを見たことがありませんか?

あるいは、金槌で叩いているのを見たことはないでしょうか?さらには、足で踏んで潰している人を見たことがあるかもしれません。

バレエダンサーにとって、大事なトゥシューズなのに・・・!と思った人もいると思います。

 

実は一見乱暴に見えるこの作業も、バレエダンサーにとって必要なことなのです。

 

なぜトゥシューズを潰すの?

それでは、なぜそのようなことをするのでしょうか?

それはトゥシューズを快適にはくためなんです。決して潰しているわけではないんです。バレエダンサーにとって自分に合うトゥシューズを見つけることは、とても重要なことです。トゥシューズによって踊りが変わるという人もいるくらいです。

ダンサーによっては、本番に備えて10足以上も用意する人もいます。

劇場の床、自分のコンディション、そして踊るシーンによって当日にトゥシューズを決めるのです。

それくらいダンサーにとってトゥシューズは重要なものであり、身体の一部なのです。

 

もちろん、なにもしない状態でもぴったり合うトゥシューズに出会えることが一番ですが、

・もう少しここがこうだったらいいのになぁ

・ここの部分は良いけどここがどうもしっくりこないなぁ

などのお悩みはありませんか?

 

初めてトゥシューズを履いたときには立つことに精一杯であまり感じないかもしれませんが、トゥシューズ暦が長くなればなるほど、だんだんいろんな点に気づくようになりこだわりも増えてくるものだと思います。

 

そこで、様々な工夫を凝らしトゥシューズを加工するのです。

そのひとつが、先ほどお話したトゥシューズを叩きつけるという方法なのです。

実際プロのダンサーがどのような加工を行っているのかをご紹介します。

 

トゥシューズの加工法

1.ボックスを踏んだり叩いたりする

冒頭でお話したこの方法は、ボックスが固く足にあたって痛い場合に効果的です。踏んだり、叩いたりすることで柔らかくなるため、足馴染みがよくなります。

また、トゥシューズの裏のサテンが寄っている部分をコンクリートに叩きつけることで、消音効果も期待できます。

ただしやり過ぎると本当に潰れてしまうので、やり過ぎには注意しましょう。

 

2.シャンクをカットする

フルシャンクのトゥシューズを自分でカットすることで、1/2シャンクや2/3シャンクにする方法です。

これによりソールがしなり、より綺麗に足に添うようになります。

 

やり方は、まずシャンクの上の素材を剥がし、釘を抜きます。そして自分の足に一番添う位置を見つけ、その位置でカットします。

シャンクは硬いので、ハサミで無理な場合はカッターを使うと良いでしょう。くれぐれも怪我のないように注意してくださいね。

そのままで痛い場合は、切った部分にテーピングを巻いても良いです。

 

カットせずに、自分の押したい位置でソールを曲げるという方法もあります。

また、ソールにカッターで切れ目を入れるとその部分が曲がりやすくなり、同じような効果がでます。

どの位置で曲げるかは、人によって違います。自分が「ここを押されると立ちやすい」という位置を見つけてください。

 

3.ニスや瞬間接着剤を入れる

トゥシューズを履いていくとプラットフォームやボックスが柔らかくなっていきます。他の部分はまだしっかりしているのに、この部分が潰れてしまうということがあります。

そこでトゥシューズの持ちを良くするために、ボックスにニスや瞬間接着剤を流します。専用のトゥシューズハードナーもあるので、そちらを使ってもかまいません。

ボックスに流し込み、全体に行き渡らせてから、一日ほど陰干しして乾かします。

刷毛を使うと、薄く均等に塗ることができます。

 

新しい状態でやる人もいれば、数回履いたあとにやる人もいます。あるいは柔らかくなってきたなというタイミングで流し込む人もいます。

 

特に夏場は、湿気でトゥシューズがすぐに潰れてしまうので、少しでも長持ちさせたいですよね。ただし、ミスを多く流しすぎると、外側まで染みてしまい、滑る原因にもなるため、様子を見ながらやりましょう。

ソールがすぐに柔らかくなってしまうという場合は、インソールに薄く塗っても良いでしょう。

 

4.リボンをアキレスの部分だけゴムにする

長時間トゥシューズを履いていると、アキレス腱がリボンで痛くなってくるという人におすすめの方法です。

リボンをカットし、アキレスに当たる部分をゴムにして縫い合わせます。もともとそのようにできているゴムも販売されているので、そちらを使うと便利です。

リボンを、アキレス腱の部分だけゴムに差し替えることで、締め付けが軽減されます。

 

5.プラットフォームをかがる

トゥシューズによっては、立ったときにコロコロして安定しないというものもあります。また、トゥシューズは一足一足微妙に違っていて、同じ種類のものであっても立ち心地が違ったり、斜めに傾いていたりします。

そういったときにおすすめの方法が、プラットフォームをかがるという加工法です。

太めの針またはカーブ針を使い、糸は凧糸や麻糸など固めの糸を使って、プラットフォームの周りをかがります。

これをすることで、安定感が出ます。また、トゥシューズの持ちが良くなるという利点もあります。音が若干静かにもなります。

かがる糸の太さや、何周かがるかなどによっても変わってきます。また、ドゥミを通りやすいよう、プラットフォームのソール側はかがらない人もいます。

 

6.サイドを短くする

サイドの生地を短くすることで、トゥシューズに甲が埋もれてしまうのを防ぎます。足に厚みがあまりない場合、これをすることで甲が綺麗に見えることがあります。

 

まず、サイドの生地と、紐の通っているところの縫い目の糸を切り分解します。

そして、自分のちょうど良い位置まで、サイドの生地をカットします。

そして、もう一度生地と紐の通っている部分を縫い合わせて元通りにします。

 

分解せずに、サイドの余っている部分をつまんで縫い合わせるという方法もあります。こちらの方が簡単です。

より快適にトゥシューズを履くために

今回ご紹介した方法以外にも様々な加工方があります。

 

・アテールを安定させるために、ソール部分をカッターで削って平にする

・踵が脱げないように、タイツに松ヤニをつける

・甲の出過ぎを防ぐため、ヴァンプの前ぐりをかがる

 

など、ダンサーそれぞれが自分のやり方で、より快適に、見た目も美しく履くために工夫しています。

最初は難しいかもしれませんが、トゥシューズがより身体の一部となるよう試行錯誤してみてください。

わからないことがあれば、お友達や上級生、あるいは先生に聞いてみるのもいいと思います。

 

みなさまが快適なトゥシューズライフが送れることを願っています。

 

 

 

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