「肩が上がってしまう」原因と対策
こんにちは。
やまぐちスポーツ整骨院です。
バレエでは、ターンアウトなど、脚に意識がいくことが多いと思います。
しかし、バレエを踊る上で上半身のポジション、アライメントは非常に重要です。
上半身がうまく使えていないと、ターンアウト正しくできません。
踊っているときについ肩が上がることはありませんか?
これは、上半身がうまく機能していないからです。
肩が上がると、見た目上の問題だけでなく、呼吸や機能面においても問題が生じてしまいます。
そこで今回は、なぜ肩が上がるのか、また気をつけるにはどこを気をつけると良いのかについてお話していきたいと思います。
肩が上がる原因
①呼吸が浅い
肩が上がっている方は、肩呼吸(胸式呼吸)になっていることが多いです。
バレエでは、胸式呼吸と腹式呼吸のどちらも使いながら踊りますが、これが胸式呼吸だけになっていると、肩周りが緊張し、肩が盛り上がってしまい、呼吸も浅くなります。
バレエの呼吸では、横隔膜がしっかり動くことが重要です。
横隔膜は、吸ったときに下がり、吐いたときに上がります。
吸うときに下がることで、呼吸がしっかり入り、吐くときに上がることでお腹の筋肉が働き、体幹を支えることができます。
上手なダンサーは、横隔膜がきちんと使えています。
また、レッスン中に緊張が大きいというのも呼吸は浅くなる原因となります。
②引き上げすぎている
バレエでは「引き上げ」が大事ですが、引き上げないという意識が強すぎて、お腹をへっこませて必死に上げすぎていませんか?
これでは、体幹は使えませんし、肩が上がってしまいます。
また、先ほどお伝えした「呼吸が浅くなる」原因にもなります。
引き上げは、呼吸と大きく関係しており、お腹をへこませて肋骨が開いた状態では、吸ってばかりになり、肩がどんどん上がっていきます。
お腹を凹ますことでの引き上げは、背骨の形や骨盤の位置が変わってしまいます。
本来は、背骨のS字のカーブは保ったまま、腹横筋を使ってお腹を薄くします。
骨盤は、床に対して恥骨と上前腸骨棘が垂直な状態が基本です。
必要以上にお腹を凹ましてしまうと、これらのアライメントが崩れ、体幹が機能せず、結果的に肩が上がりやすくなってしまいます。
③脇と背中が使えていない

肩をおろすには、脇の前鋸筋と、肩甲骨の下の僧帽筋下部線維が重要です。
前捻筋は、肩甲骨の裏から肋骨に向かってついている筋肉で、肩甲骨を安定させる役割をします。
前鋸筋がしっかり働くことで、腕を上げても肩甲骨が一緒に上がらないようにすることが可能となります。
また、前鋸筋は肋骨と肩甲骨の分離にも必要な筋肉です。
肩甲骨は肋骨の上に浮いている「浮遊骨」で、腕を動かすときにスライドします。
しかし、前鋸筋が弱いと、このスライドがうまくできず、肩甲骨が肋骨にくっついて動いてしまい、呼吸などで肋骨が膨らむと、一緒に肩甲骨が持ち上がってしまいます。
そして、もうひとつ、僧帽筋の下部線維ですが、こちらは肩甲骨を下制させる役割があります。
この筋肉が働くことで、肩甲骨が上に浮いて肩が上がってしまうのを抑制することができます。
また、同じく僧帽筋で、中部線維も肩甲骨の内転(後ろに寄せる)のために必要な筋肉ですが、使いすぎると肩甲骨が必要以上に寄ってしまい、背中を広く使うことができません。
④可動域不足
胸椎、肩、肩甲骨の可動域が少ないことも、肩が上がる原因となります。
とくに胸椎が硬いと、上体のしなりや腕のしなやかさを肩で代償してしまいます。
胸椎の屈曲、伸展、回旋がうまく使えるようなると、肩がスムーズに動きやすくなります。
肩を下ろすためのポイント
①肋骨を締めるのではなく収めるイメージ
肩が上がっているとき、多くの場合肋骨が開いています。
ここで、肋骨を締めようとすると、今度は動きが固くなってしまうことがあります。
肩甲骨と背中の広さは変えずに、前に出た肋骨を下にストンと収めるようにイメージしてみてください。
ここで使われる筋肉が、前鋸筋と腹横筋です。
前鋸筋と腹横筋を使うことで、肋骨をニュートラルな位置にもっていくことができます。
前鋸筋は、下ではなく内側に使うイメージを持つと、肩甲骨を開いたまま、肋骨を収めるということをしやすいかと思います。
四つ這いでのトレーニングは、肩甲骨や背骨の安定性のために効果的なトレーニングとなるのでおすすめです。
②呼吸の練習
バレエで重要な呼吸は、前にだけ広がる呼吸ではなく、下や後ろにも広がる呼吸です。
胸郭の下部や背面にも呼吸を入れられることで、体幹の安定が生まれ、強くてしなやかな動きが可能になります。
体幹が安定していると、肩を動かすときに代償することなく使え、自然と肩のポジションが保たれます。
まずは、呼吸だけの練習をして、普段の呼吸のクセを知りましょう。
正しい呼吸の練習をするだけでも良いトレーニングになります。
③上腕骨を軽く外旋する
上腕骨を軽く外旋することで、上腕骨が肩甲骨の受け皿に正しく収まりやすくなります。
正しい位置に骨頭がはまることで、肩関節がスムーズに動き、肩が上がりにくくなります。
前鋸筋や広背筋に自然と力が入りやすくもなります。
また、外旋によって腕の根本が背中側に吸い込まれ、腕を上げるときの重さが軽く感じられるようになります。
③胸椎の可動域を出す

胸椎は、伸展方向だけでなく、屈曲や回旋方向にも可動域がでることで、しなやかに使うことができます。
胸が硬いからといって、反る方向ばかり練習をしていると、返って動かないくなってしまいます。
そして、反ってばかりいると、肋骨が開いたままの状態になりやすくなります。
胸椎の可動域を全方向に出せることで、必要な筋肉が働き、さらに深い呼吸がしやすくなります。
さいごに
肩を落とすには、肩甲骨の安定性や正しく呼吸が必要不可欠です。
普段から緊張しやすいという方は、呼吸が浅い傾向にあるため、気づいたときに深呼吸をするだけでも変わってくると思います。
しなやかに動ける体を目指して、本日お伝えしたポイントをほんの少しでも意識してみてくださいね。
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