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ウクライナ国立バレエ『ジゼル』

こんにちは。

やまぐちスポーツ整骨院です。

 

1/11(日)に大阪フェスティバルホールで開催された、ウクライナ国立バレエ団の『ジゼル』を観に行ってきました。

 

こちらの公演は、光藍者主催公演で、2022年2月のロシア侵攻以降3度目の来日公演となります。

過酷な状況下にあるウクライナ国立バレエ団ですが、現在は日本人である寺田宜弘芸術監督の下、さらに結束力を強め、素晴らしいバレエを届けてくれました。

 

ウクライナ国立バレエ団

バレエのポスター

①旧キエフ・バレエ

ウクライナ国立バレエは、かつてはキエフ・バレエと呼ばれていたバレエ団で、ウクライナの首都キエフを拠点とする国立劇場のバレエ団です。

150年以上の歴史があり、古典作品をはじめ、現代作品やウクライナならではのレパートリーなど、幅広い作品を上演しています。

 

②ロシア侵攻後

ロシア侵攻により、ロシア人作曲家による作品の上演を取りやめたウクライナ国立バレエですが、2012年12月就任の寺田宜弘芸術監督の新体制により、レパートリーを増やして精力的に活動を行なっています。

 

寺田監督はキエフ・バレエでダンサーとして活躍後、キエフ国立バレエ学校の芸術監督を10年務めた後、ウクライナ国立バレエの芸術監督に就任されました。

 

戦争によりダンサーは国外に避難し、一時は人数が激減しましたが、なんとか公演を再開しようと、バラバラになったバレエ団を再結成しました。

 

現在でも、空襲警報が鳴れば公演を中止し、ダンサーも観客も地下へ避難しなければならない状況だといいます。

 

そんな中、稽古を重ねてはるばる日本で見せてくれた『ジゼル』は、感動的なものでした。

戦争の経験のないものにとっては、想像を絶する環境の中届けてくれたバレエは、非常に美しいものでした。

 

ウクライナ国立バレエのジゼル

①あらすじ

みなさんはジゼルをご覧になったことはありますか?

ジゼルは悲しくも美しい愛の物語です。音楽も美しいですよね。

 

アルブレヒトという貴族の青年が身分を隠し、村娘ジゼルに恋をします。ジゼルも彼に恋しますが、実はアルブレヒトには婚約者がいることが発覚。ショックを受けたジゼルは心を病み、踊り狂った末に命を落としてしまいます。

 

結婚を前に死んだ娘たちはウィリになる、とドイツの言い伝えがある、ウィリたちは夜に森に出没し、通りがかりの男を踊りの輪に引き込んで、疲れて息果てるまで踊り狂わせます。

 

アルブレヒトが彼女の墓に訪れると、ウィリたちが彼を襲いますが、ジゼルは愛の力で彼を守ります。夜が明け、アルブレヒトは生き延びますが、ジゼルは永遠に霊界へ去ります。

 

 

これが本来のジゼルのあらすじです。

しかし、今回のウクライナ国立バレエのジゼルの終末は少し違いました。

アルブレヒトは、朝日が昇ると共に、ジゼルのお墓の上で息絶えます。

ウィルフリードとバチルド姫がアルブレヒトを探しに訪れますが、アルブレヒトの息が戻ることはありませんでした。

 

そして、雲の上でジゼルとアルブレヒトは結ばれるのでした。

 

こういった演出は初めて見ましたが、今のウクライナの状況に思いを馳せ、少し希望を持つことができるように感じられました。

アルブレヒトに抱かれたジゼルの魂が救われたように思え、通常のあらすじとは違った良さもありました。

 

ダンサー紹介

配役表

11日の公演で踊られたダンサーの方々についての感想を少し書かせていただこうと思います。

まずはジゼルを踊られたのは、プリンシパルのイローナ・クラフチェンコさんです。

バレエ団ではベテランの方のようですが、一幕では仕草が愛らしく、アルブレヒトに対する恥じらいや恋心を感じました。

ヴァリエーションでは、表現と共に技術も魅せ、美しかったです。

また、狂乱の場では気づけばジゼルに感情移入していて、観ていて苦しく涙が出そうでした。

 

また、2幕では体のラインの美しさによってアルブレヒトへの愛や悲しみが表現されていました。

 

そして、アルブレヒトを踊られたのは、こちらもプリンシパルであるオレクサンドル・オメリチェンコさんです。

この方は、なんとも笑顔が愛らしく、それが貴公子のおぼっちゃま感を出しており、後のストーリーの理解に繋がっているように思いました。

長身でスタイルも良く、踊りにもエレガントさがあり好印象でした。

2幕のパ・ド・ドゥは、リフトが多く、さらにジゼルには重力を感じさせてはいけないため、男性にとってはかなりきついものですが、その後のコーダのアントルシャ・シスは素晴らしいものでした。

 

そして、わたしが特筆したい人物は、ヒラリオン(ハンス)です。踊ったのは、ヴォロディミール・クツーゾフさん。

一幕から演技が素晴らしく、ストーリーに深みを出していると感じていましたが、2幕でウィリたちに囲まれて見せた一瞬の踊りが、なんともすごかったです。

ジャンプ美しくてキレがよく、テクニシャンでもあるようでした。

ほんの一瞬でしたが、もっといろんな踊りを見たいと思う方でした。

 

舞台を観て

舞台のカーテンコール

この舞台は、ただの公演ではなかったのは間違いありません。

カーテンコールは総立ちで、それは単に踊りに対してだけではなく、ウクライナに向けてのエールだったと思います。

ウクライナの国旗を掲げていらっしゃる方も見受けられました。

 

過酷な状況の中、芸術を守るために死と隣合わせの中日々練習に励み、踊り続けるウクライナ国立バレエ。

それは、生きるためでもあるでしょう。

そういったダンサーが届けてくれた舞台は、感動で胸が熱くなりました。

わたしたちにできることはなんなのか、考えさせられる時間でもありました。

 

また、同時にこうやって繋がりを感じられる芸術は素晴らしいものだと思いました。

 

1日でも早く平和が訪れることを願っています。

 

 

 

 

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