野球は国内でサッカーに次いで競技人口が多く、
小学生・中学生ではボーイズリーグ、リトルリーグを含めて5団体6リーグが存在し全国大会も毎年、夏に開催されています。
社会人、アマチュア、プロを含めた野球チームは全国に300以上のチームがレベルも幅広く存在します。
プロ野球の世界でもありますが選手を経験したのちに指導者や監督に就任するケースも少なくはありません。
日本の野球競技を開始する年齢は小学生から始められる方が多く、あるプロ野球選手特集の記事でも早ければ小学1年、遅くても中学1年から開始されている方が多くみられます。
たとえ野球の練習が週1日だけだったとしても必然的に野球経験が長くなり、偶発的な怪我を含めたスポーツ障害のリスクも上がります。
また特に小学生・中学生の野球チームではチームに専属のトレーナーやドクターがおらず指導者が兼任されていることが多くみられます。
この光景は高校野球でも見られ、甲子園でも指導者やマネージャーがテーピングや身体のケアをしているケースは少なくありません。
これらを怪我やスポーツ障害を危惧し昨今、日本の野球界では
など野球選手の将来も見据えた制度が導入されることも増えました。
しかし、野球という競技におけるスポーツ障害で継続が不可能となり断念する選手も存在します。
我々、施術者も選手がどのような未来を目指して、今の身体を理解し施術を行っていくのか方針をしっかり決めることが必要となります。
今回の記事では実際に選手たちがどのような怪我に悩まされているのか、それに対する施術についての内容となります。
大阪を中心とした軟式・硬式の小学生、中学生、高校生、社会人、全国大会・甲子園出場校選手、現役のプロ選手の施術をしてきた経験から野球(軟式・硬式)における怪我・障害について説明させていただきます。
手から肩までの怪我・スポーツ障害
有鈎骨疲労骨折(手のひら)
有鈎骨はバッティングにて衝撃がかかりやすい引き手側が疲労骨折を起こしやすく、もともと血行が乏しく、自然に癒合しにくい為手術になることがほとんどです。
空振りやファウルチップなどの急激なストレスがかかり続けると骨が脆弱し、骨折に至るケースがあります。
野球において特に手を着いたりなどの急激な外力が無いにも関わらず、手のひらに痛みを感じた際はすぐに病院の検査が必要となります。

TFCC損傷(手首)
手首の関節は前腕の2本と小さな骨である手根骨から構成されており、身体の中でも自由度の高い関節の一つです。
しかし自由で多彩な動きができるからこそ関節を構成する骨同士の繋がりが不安定になりやすい。TFCCは手首の安定性の向上や関節に直接かかる衝撃を緩和させる役割を担っています。

野球では
・バッティングのスイングの繰り返し
・バッティングでボールのインパクト時の衝撃
・投手の変化球の繰り返しの投球
・スライディング時に地面に手を着いたときの衝撃
などの動作で発症するケースがあります。
繰り返しの動作での発症リスクはもちろん一度の衝撃で損傷することもあります。手首の捻る動き、手を小指側に曲げる動きが同時に発生するときに最大の負荷がかかるとされています。野球では投球時、バッティング時は手首だけではなく、体幹の捻るという動作のコントロールが必要となりますこの時に必要な肋骨、股関節、肩甲骨などの動きが疲労や偏ったトレーニングにより動きに制限がかかると「手首」の動作に負担が集中するためTFCC損傷のリスクが上がります。損傷の状態が悪化すると関節部に異常な血管の増加が起きます。
これは通称「モヤモヤ血管」と呼ばれ、この異常な血管とともに神経が過敏になり痛みが取れにくくなる場合もあります。
最悪の場合、手首が腫れあがり安静時でも痛みが出る為、長期の練習離脱となることもあります。手首に違和感がある時点で早めに対処しなければならないスポーツ障害です。
野球肘(肘関節)
野球肘は特定の組織が損傷していることを指すのではなく様々なタイプが存在します。
子どもから大人まで発症する年齢も幅広く、原因の特定・予防が困難な症状の一つと言えます。
野球肘は特に投手に多く、練習・試合による投球の数、変化球による肘への負担が蓄積されることで発症します。野球肘の問題は日本だけではなく世界中でも課題となるスポーツ障害で、アメリカでは幼少期から投球制限が日本より厳密に定められています。
特に小学生期の骨が完全に出来上がっておらず筋肉や靱帯の引っ張る力の繰り返しで骨折や軟骨損傷に至ることもあります。
持久力を上げる身体づくり、変化球の習得を急ぐあまり、トレーニングや投球数を増やすことがケガに繋がるリスクを引き上げると考えられ、日本でも投球に関する制度が設けられました。
肘関節の構造は
上腕骨+前腕にある橈骨・尺骨の三つの骨で構成されており、
特に内側に強靭な靱帯があり肘の関節の安定の役割を担っています。これら靱帯や肘関節の動きに関与する筋肉、関節に存在する軟骨の損傷を野球肘と呼んでいます。
野球肘のタイプ
1、内側型、肘の内側に出る痛み(野球肘のほとんどが内側に集中する)
a、上腕骨内側上顆障害(リトルリーグ肘)
b、上腕骨内側上顆剥離骨折
c、上腕骨内側上顆骨端線離開
d、内側側副靱帯損傷もしくは断裂
e、肘関節内側にある筋肉の肉離れ
f、尺骨神経障害
a~cは主に小学生、中学生の成長期に発症しやすいスポーツ障害です。
内側上顆は肘の内側にある出っ張っている部分を指します。
成長期ではまだ骨が完全に出来ておらず、骨の端に骨端線という隙間があり成長とともに塞がり骨が出来上がります。
その成長途中の組織に対して、筋肉の過度のストレスや靱帯の引っ張る力がかかり続けると微小損傷に始まり、骨が少しずつめくれていき最終的に骨折・骨端線が開く離開が発生します。
高校生以上になると身体の成長が終わり始め骨は出来上がってきます。ここからは骨ではなく靭帯や筋肉などの組織に直接負担がかかりやすくなる為、怪我の種類が変わってきます。
肘の内側に走る尺骨神経への直接もしくは筋肉との摩擦、そして筋肉自体の肉離れなど。
更に内側部の靭帯の損傷もしくは断裂、プロの選手でも靭帯の再腱手術『トミー・ジョン手術』を受けている方も見られます。
各年齢における後発しやすい怪我、身体付きに対する動きやトレーニングが重要となります。
2、外側型、肘の外側に痛みが出る
a、離断性骨軟骨炎
野球肘の中でも選手生命に大きく関わるほどの障害となる可能性が高い症状の一つです。
離断性骨軟骨炎は前腕の親指側にある橈骨と上腕骨の外側の繰り返しの衝突や圧迫力の繰り返しによりその部分が炎症、損傷する、最悪の場合軟骨の一部が剥がれたりその剥がれた部分が関節内に浮遊する「関節ネズミ」を引き起こしたり、肘関節の変形により曲げ伸ばしが出来なくなることがあります。
初期段階ではノースロー、身体のケアで改善することがほとんどですが
関節ネズミを引き起こすと手術で浮遊している骨を取り除く必要が出てきます。
この症状は軟骨が多く存在する幼少期に発症しやすく、早期発見がその後の選手生命を左右することもあります。
近年では全国的に医師による少年野球検診が行われることが増えた為、早期発見が可能となりましたが警戒の必要な障害です。
3、後方型、肘の後ろに痛みが出る
a、肘頭部骨端線離開
b、肘頭疲労骨折
c、後方インピンジメント
aは小学生・中学生の成長に発症しやすいスポーツ障害です。
内側型の際に説明させていただいた骨端線、後方型の場合は肘の頂点の部分にある骨端線がボールを投げ切る瞬間(フォロースルー期)に肘が伸びることで繰り返しの衝突、骨端線が開く力が繰り返しかかることで離開します。
酷くなると骨端線付近の骨の骨折も発生するリスクも上がります。
b、cは成長期を終え骨が出来上がった状態の際に発症しやすい怪我です。
aと同様にフォロースルー期の肘が伸びる動作による関節窩と骨頭の繰り返しによる外力、もしくは筋肉の牽引力により発生する怪我となります
野球肘の怪我は最悪の場合、手術を余儀なくされることも多いのでいかに初期段階では対処出来るかがポイントとなります。
野球肩(肩関節)
野球肘と同様に野球肩もある特定の組織の損傷や痛みを表すのでわなく、いくつかのタイプが存在します。
野球肩はバッティングによる痛みは少なく、ほとんどが投球・送球動作により発症し痛みが起きます。
特に投手はもちろんですが捕手、内野手、外野手でも捕球後に身体の捻りを使わず無理に肩の動きや力だけで投げてしまうことで発症するケースも多々あります。
肩関節には関節を覆う膜の関節包や関節内の骨同士の接触や腱同士の摩擦を軽減させる組織の滑液包などあらゆる組織が密集している部分になります。
動きを円滑にする為の組織は時に身体の使い方次第で障害となることがあります。
肩関節は腕の上腕骨・背中にある肩甲骨・鎖骨から構成されています。肩甲骨は腕を挙げていくのと同時に肩甲骨も回転する事で手が後ろにまわせる、腕を真上に挙上することができます。
鎖骨は肩甲骨の一部と靭帯で繋がれている為、肩甲骨の動きに鎖骨は必要不可欠となります。
インピンジメント症候群
野球肩の中でもこの症状が比較的多く発症しやすいのがインピンジメント症候群です。
インピンジメントとは日本語にすると「衝突」という意味を表します。
本来、腕を挙げると上腕骨の動きに肩甲骨と鎖骨が連動し動くところが何らかの原因で動きが悪くなり
腕を上げた時に上腕骨と肩甲骨・靭帯・滑液包などの組織同士が衝突し損傷することを指します。
投球・送球動作において肩関節に痛みが出る、酷くなると日常生活において腕を挙げるだけで痛みが出ることもあります。
ここでは肩甲骨と鎖骨の動きが特に重要となります。
腱板損傷
腱板とは肩甲骨から上腕骨にかけて付着し、肩関節の動きに関与する
・棘下筋
・小円筋
・肩甲下筋
の腱を総称して腱板と呼びます。
これから筋肉の腱は関節内部を複雑に走行しており、先程のインピンジメントにより損傷、もしくは
筋肉の繰り返し投球、送球の動作により酷使することで部分損傷、断裂に至ることがあります。
症状が悪化すると安静時、夜間痛や腕を下ろす時にも痛みが出るのでフォロースルー期にも激痛が走ることもあります。
トレーニング方法の改善、腱板に負担のかからない身体全体を使った動作が重要になります。
上腕骨骨端線離開(リトルリーガーショルダー)
野球肘の際にも出てきました成長期特有の骨端部の骨が出来上がっていない部分の離開となります。
肩関節の場合は上腕骨の部分に骨端線が存在し、
投球時の骨端線が離開する力の繰り返し、または骨端部が筋肉の牽引力により剥がれるような骨折、損傷する症状を指します。
肘に比べると変形は少ない部分にはなりますが、肩の特に後方の痛み、肩を捻る動きにおいて痛みが発生しやすく、練習が不可能になることがあります。
ルーズショルダー
ルーズショルダーは別名「動揺性肩関節症」と呼ばれ肩関節の安定性が欠落している状態を指します。
ルーズショルダーの原因としては大きく二つの種類に分けることが出来ます。
・運動中や日常生活において組織の損傷により不安定になる「後天性」
が存在します。
先天性
生まれつき、関節の受け皿である関節窩が浅い場合や靱帯や筋肉の構造上、肩関節が不安定になる状態です。
酷ければ腕を上げただけでも肩関節の亜脱臼が起きることもあり、トレーニングにより肩関節の安定性を向上させる必要がある。
後天性
肩関節の動揺性は肩甲骨の関節窩や上腕骨の骨頭が一度の外力で骨折・破損し発症することで肩関節が不安定になってしまいます。
基本、症状がひどくなければ手術はせずにトレーニングにより安定性を確保することがほとんどです。
症状としては他の障害に比べると痛みはひどくない場合が多く、主に投球時に肩の不安定感・脱力感、ボールを投げ切るフォロースルー期において肩関節が抜けるような感覚になります。
肩甲上神経損傷
野球の投球・送球動作において圧迫力や衝突する力が加わるのは靱帯、骨、筋肉だけでなくその周りを走行している神経にも影響を及ぼすこともあります。
肩甲上神経は首の側面から肩甲骨に走行し、棘上筋と棘下筋の動きを支配しています。
この神経が野球による動きの中で何度も圧迫されたり、ガングリオンという組織の塊によって圧迫されると、支配している棘上筋・棘下筋に力が入らない状態になります。
この状態が続くと筋肉に麻痺症状や筋肉が小さくなる萎縮が起き肩関節の動きに制限がかかる、脱力感、痛みという症状が発生します。
肩甲上神経の損傷による症状は基本的に原因である動きを控え、筋力や動作改善により回復していきます。
当院での野球選手・スポーツ障害ヘの施術と整体について
野球選手の怪我・スポーツ障害を解決するために、当院では独自の特殊な方法を用いて整体を行なっています。
柔軟性、筋肉のトレーニングを自宅でも行える形でなおかつオリジナルの内容となります。
整体…「ひもトレ」「ザコザーラ」を用いたものになります。
ひもトレ
ザコザーラ


機器による施術…微弱電流機器「アキュスコープ」「マイオパルス」ハイトーン機器「ハイチャージ」
微弱電流機器「アキュスコープ」「マイオパルス」
即効性のある施術が可能となっております。

ハイトーン機器「ハイチャージ」

これらの機器を使用することでストレスのたまりにくい身体づくり、予防が可能となります。
日頃のメンテナンスとしてもご利用いただけます。
怪我・スポーツ障害は早期に対処、解決することが何より重要です!
症状によって来院回数、期間は異なりますので「あなたのお困りの症状について」お気軽にお問い合わせ下さい。